山本高史さんインタビュー

サッカー日本代表・小野伸二選手を起用したトヨタカローラフィールダーやジャパネットたかたなど、視聴者の心の琴線に触れる広告で高い評価を得ている株式会社コトバのコピーライター・山本高史さん。最近では、雑誌の連載を始めるなど、広告以外にも活動の場を広げる山本さんに、コピーライターという仕事について、コピーライターを目指す人への想いなどを伺いました。

―コピーライターを志望したきっかけは。

学生時代は美術史をやっていて、研究者になろうと思っていました。でもいろいろあって就職しようということになりました。それで、合気道部の2年先輩で電通に入っている人がいて、この人がむちゃくちゃな人で、まあある意味尊敬してはいたのですが、この人でも務まるなら俺でも大丈夫じゃないか、と思い、話を聞きにいったら、なんだか面白そうな仕事だったので、電通を受けました。そのまま受かって、クリエイティブに配属されたというのが、コピーライターになった経緯です。だから入社するまでは広告のことは何にも知りませんでした。

―コピーライターに向いているタイプ、あるいは必要な資質はというのはありますか。

好奇心を持っていること。それと人より長く、深く考えられる持続力だと思います。たとえば、自動販売機の前にイヤリングが落ちていたとして、「あっ、イヤリングだ、誰か落としたのかな」というのが普通の反応ですよね。でも、そのときに、一個落としたら気づかなかったのかな、とか、自分で買ったのかな、それとも誰かにプレゼントで贈ってもらったものなのかな、でもイニシャル書いてないよな、とか、これに見合う服を着る人ってどんなのひとなんだろう、というように、単なるひとつの現象なんだけど、そこから考えが広がったり、深くなったり、ジャンプしたりすることがある人は、コピーライターとしてはいいんだろうとは思う。でも、広告に関して僕は、技術にしても何にしても23歳から獲得したものだから、始めるのに遅いということはないと思う。

―コピーライターになってよかったと思いますか。

なってよかった。この仕事は、モノを通して世の中のことを考えられる。何でこれができたのだろうとか、何でこんなに売れないものを作ったのだろう、とか考えるきっかけが仕事をした分だけ山ほどある。それが面白いし、いろんなアングルから世の中とか、人生とか、世界とかを考えられるのはすごく勉強になる。仕事を通していろんなことを覚えたから、こんなに勉強になる仕事はないと思う。それと、僕にとっては“考える喜び”が、広告という仕事のすべてかな。考える幸せって、考えてわかるということ。つまり、わかるために考えるわけで、いつもいつもちゃんと考えていたら、ポコッとブレイクする。それが、あーなるほどなあ、と自分でもびっくりするものだったりすると、すごく楽しいし、幸せ。

―コピーライターを目指す人たちにメッセージをお願いします。

コピーライターは楽しい仕事です。自分の人生と分けて考えなくて済む。自分が経験したこととか、人生をどう生きていこうということをそのまま活かせる仕事。人生と仕事を別々に考えると、「仕事は辛いけど、人生は楽しく」というふうにどうしてもなってしまうけど、ひとつのこととして考えるとわかりやすいし、仕事でくよくよしないで前向きにやっていけば、人生も前に進んでいける。

山本高史(やまもと・たかし) コピーライター
1961年京都府生まれ。大阪大学卒業後、電通に入社。2006年12月に株式会社コトバを設立。 2003年にはトヨタカローラフィールダーで2度目のTCCグランプリを受賞。

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